現象と本質
石油業界で仕事をすることになってもう20年が経過しました。当時はまだバブルの名残りで、合理化や効率を追うことなど、ほとんどの人々は真剣に考えていませんでした。この私が最初に気付いたのはガソリンスタンドというのは何故メーカー1社で商売しているのだろうか、ということでした。電機屋さんなどはいろいろなメーカー、例えばソニー、パナソニック、シャープ、日立等の商品を販売していますし、コンビニもロッテ、森永、明治、カップ麺等も、何十種類ものメーカー商品が什器に溢れています。しかし、ガソリンスタンドは1社のメーカーの計量機しか設置されていません。おかしく思いませんか?出光の計量機やエネオス、シェル、コスモの計量機がそれぞれのゲートにあれば何と便利なことでしょう。敢えて追加すればPB。一番価格の安い計量機です。その代り、セルフですよね、やっぱり。各メーカーの計量機はそれぞれに価格が違います。(違うのが当然なのですがね)将来のガソリンスタンドがこうなれば消費者の利便性は向上します。ただ、残念ながらこれといって、特徴のない商品なので、消費者購入の目安は一つ、見極めが価格のみという点です。単に自動車の燃料がなくなったので補給する訳ですから、入店されるお客様の表情は冴えません。気持ちは面倒くさいのです。「あれ?燃料ないよ、仕方ない、どこかそこいらへんにある一番安いGSにでも入るか」これを私は「ネガティヴな入店」と捉えます。比較するのもなんですが、パチンコ屋さんへ入店する時は「よし、今日は出すぞ!」とこれは「ポジティヴな入店」表情も断然違います。私は、この金太郎飴的現象を本質的にポジティヴにするために、ことあるごとに上記のような提案をし続けてきたのですが、この業界は無視します。曰く、同一敷地内には原則1つのメーカーマークの販売が契約条項ですし、黙っていても(努力しなくても)入店してくる消費者に何もすることはありません、(当時は接客マニュアルがありませんでした。私が自身で作成したくらい。)何かあれば価格を下げればいいのだからと。その結果どうでしょう、この業界(製油所も護送船団のバーターだらけ)そのものも、販売店で働く経営者から社員までも不変に堕落したまま。ガソリンの国内需要が10年で1割も減少したのに、相変わらず「装置産業」然としています。子供はどんどん減り、車は進化し、老人は運転技術をマスターできないこの日本。あと2年でエネルギー業界は大団円を迎えます。
2015年05月14日 16:48