和牛ではなかったM-1優勝
『M-1グランプリ2017』昨夜行われた決勝の結果に「馴染めない」後味の悪さは否めません。今年で13回目を迎える吉本興業主催の漫才コンクール。通称『M-1』は2001年から2010年までと2015年から、毎年12月に開催されているお笑いのメジャー登竜門とされていますが、今年のグランプリ決勝進出三組の漫才を見た限り、甲乙はハッキリしていました。決勝のトップバッター「とろサーモン」2番目の「ミキ」そして最後を飾った「和牛」それぞれの漫才は標準を超えたものでしたが、漫才の観点からみれば「和牛」が他の2組を完全に圧倒していました。「とろサーモン」のネタは石焼き芋でしたが、前半の分かりにくさは観客のリアクションの薄さに気づいた二人の焦りだったように思えましたし、2組目の「ミキ」は漫才の醍醐味は満点に近いのですが、ネタが以前に聞いた映画のテーマ音楽もので、手堅く行こうとしたのが裏目に出た印象です。最後に登場したのは前年の準優勝コンビ「和牛」でしたが、ファーストラウンドで1位になったネタよりもさらに面白いコンセプトを持ち込みました。旅館の仲居さんと意地悪い客との掛け合いは互いの深層心理をうまく表現し、SNSの現代を象徴するようなオチも入れ込んだ“老若男女”いずれの客層にも受ける秀逸な漫才に、彼らの自信と確信を感じさせました。こうした審査漫才は「今風なネタの面白さ」と「ボケとツッコミ」の間合い、そして「役者を凌駕する」ほど上手に役柄を演じる、この3点をトータライズして審査しなければ視聴者のオーソライズは得られないでしょう。栄冠を手にすべきだったのは「和牛」でした。M-1グランプリ決勝 和牛。
https://www.youtube.com/watch?v=YqauH8_yxWU
コメント