人格が変わる世界
1988年に音楽制作会社を設立した私のファーストオファーは大手広告代理店の電通からのものでした。航空会社が機内で流す映像ビデオ制作の仕事でしたが、地上波で放映された作品を20分程度に再編集して国際線に使用するというもの。毎月度のレギュラーワーク、しかも電通さんからのオファーに時間を惜しんで臨んだものです。そうしているうちに次々と舞い込む仕事は、航空会社に止まらず、通信会社のVP音楽やCDショップの音楽イベント、ビデオシネマの音楽制作、TV局主催の来日アーチスト告知CM、そしてついにはAORの「マイケル・フランクス」来日コンサートライブの映像制作まで手掛けることが出来たのです。何においても電通さんとのお付き合いが無かったら一流企業との仕事は100%無理でしたし、私の制作会社は成立していませんでした。今、電通社員の自殺が大きく報道されていますが、過労と残業時間のワードを中心にした彼女のツィッターを読む限り、広告代理店に合わなかった印象を持ちます。私がお付き合いしていた頃の電通マンは、午前中に打ち合わせで伺うと、社内のあちこちで寝ている人がゴロゴロいました。特に私に仕事のオファーをくれた人は、深夜にまで及ぶ映像の編集スタジオにひょっこり現れると、必ず最後(朝方)まで立ち会ってくれ、帰りもタクシー券で送ってくれたのはいいのですが「この人いつ寝るのかな」と不思議に思ったものです。時代が違うと言ってしまえばそれまでですが、今振り返ると、遊びや寝る間を惜しんで仕事に打ち込めたことは電通マンたちに感謝すべきで、広告マーケティングのイロハを学ぶことは人格形成にも役立ったのです。私にとっては正に天職でした。今回のニュースに付加価値を付けたのは、個人の慟哭をSNSが拡散させ、マスコミがそれを表面化させたからでした。労災認定は保険の給付を意味するものの、遺族側のコメントニュアンスからするとたぶん提訴になるのでしょう。
http://www.youtube.com/watch?v=OCg2D257b40
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