一軒家だった頃のTYO
CM制作の雄である「AOIプロ」と「TYO」が2017年1月に共同持ち株会社を設立し両社を統合するとの発表がありました。その記事に今から30年前の1986年を思い起こす私にとって「TYO」はエポックです。その1年前の1985年、それまでの何年間かを抜け殻人生にしてしまっていた私は最後の小さな望みを掛けて就活します。25歳をとっくに過ぎていた私のような人間を雇ってくれる会社があるのか不安でしたが、偶然が必然を呼んだのか誰かの悪戯なのか分かりませんが、都内の西麻布にある音楽出版社に中途入社できたのです。しかし、1年後にその社を退社してしまった私は、1988年に自身の会社を起業するまでの間、フリーランサーとしてマスコミ業界を走りまわります。とはいえ、まともな仕事が来るほど甘くはない業界。営業での顔出しの日々は「終わりなき旅」のようでしたが、1986年の秋、私のところに1つのプレゼン企画が舞い込みます。「TYOがクリスマスのCMで使用する楽曲を探している」との情報を得た私は小躍りします。「TYOに出向いてプレゼンできる」1982年に設立されたTYOは、その頃にはもう天下のCM制作会社として端くれの私にまで認知されていた会社でした。六本木にあるTYOは一軒家を改造した瀟洒な建物で、玄関に入るなり別世界に入ったような感覚と、若いクリエイターたちの表情がとにかく輝いていたのが印象的でした。会議室の一つに通された私の前には、プロデューサーの飯田さんという方がいらっしゃいましたが、その瞬間に吹いた涼風を忘れません。飯田さんの物腰がスマートすぎて、この私は勝手にアガッてしまったのです。プレゼンそのものは無難に出来たものの、コンセプトに合わなかったようで企画はポシャったのですが、いい経験をさせていただきました。あれから30年、今またTYOの名前を目で追えることを幸せに思い、あの時の飯田さんはどうされているのかなあと思いながらHPを覗くと、取締役業務統括本部長に就任されておりました。東北新社を抜く業界1位のCM制作会社の誕生です。TYO制作のCM。ジョガーパンツ Get into Joggers 篇。
https://www.youtube.com/watch?v=3lBRE5Nkd9I
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