株式会社　津幡石油        (tsubata sekiyu)

侍ビジネスマンとの夜

朝起きると頭痛です。昨夜の酒が残っているのです。ボーっとしながらリビングのソファに腰を下ろすと、酩酊した彼の体がタクシーに吸い込まれていく姿が目に浮かびました。私の担当者である彼の転勤人事が私の耳に届いたのは先月末。この私の担当に正式に配属されたのが今年の4月からでしたが、まさかの坂に唖然茫然から10日後の昨日、この日は普通の会食として予定していた日でしたが、急遽、彼の送別会になったのです。今年で北陸6年目を迎える彼は、誰もが認める敏腕社員で「ナンバー2」として最高の仕事をしていました。役員会で顔を合わす度に、彼の姿勢とその物腰からくる言葉使いを非常に気に入っていた私は、一方でこの数年間、これまでの担当者と信頼関係が築けなくなっていることに悩ましい日々を送っていました。それが、昨年夏に赴任された新しい支店長の英断（配置転換）によって雲散霧消されたのです。4月以降、彼とする会話は想像通りに心地よいものでしたが、私の喜びは束の間でした。「短すぎるなあ」組織の不文律を恨むのですが仕方ありません。念願だった恋人との蜜月はたった2か月間でしたが「今夜は潰れてもらうよ」とした私の意地悪い言葉に対して、支店長にアイコンタクトで確認をとりながら遂行する彼の存在は、今では数少なくなった「侍･ビジネスマン」そのものでした。神戸に行っても頑張ってね奥野さん。「出光人たち」CM。https://www.youtube.com/watch?v=2kD5A2gZYms