以蔵のキモチ
猫ブームなのだそうです。この私は言わずと知れた猫大好き人間。今までに何匹飼ったでしょうか。実家にいた頃にミックス種3~5匹、大学時代の2匹はいずれもキジ寅の猫で、この種類は結構頭が賢かった。その後もロシアンブルーやアメリカンショートヘア等を飼いましたが、一番印象に残っている猫は「以蔵」という名前の茶寅の猫でした。この「以蔵」は私たちのキモチを理解する能力がズバ抜けていたのです。逸話はいくつもありますが、その中でも秀逸なのが「夫婦喧嘩」の仲裁に入ってくれたことでした。この犬も食わない夫婦喧嘩を見て見ぬ振りが出来なかったのでしょう。彼は(オスでした)私たちの中に割って入り、自慢の毛並みを逆立てながら困った顔をしたのです。その心配そうな顔と態度に思わず笑い転げた私たちは、ただただ彼に向かって「もうしないよ」と頭をなでたのでした。長い手足で歩く姿は幸福を呼びよせる雰囲気充分で、古代ローマ帝国の壁面の猫そのもの。記憶を辿るに私の元に来たのは、バブルの頃でした。二子玉川のデパートでペットショップを紹介するTV局のニュースコーナーで、「ジャンケンで獲得する猫」に最後まで勝ち残ったカミさんが連れてきたのです。生まれて2か月の、手のひらに乗せられる位に小さな子猫の名は、1989年「ビックコミック スピリッツ」に連載していた「以蔵のキモチ」からつけたものです。その後、以蔵は生まれ故郷の東京を離れ、余生は私の実家で暮らしていましたが、2003年の初夏、星になりました。「以蔵のキモチ」単行本。
http://booklog.jp/item/1/4091820018
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