1986年の1バレル
「中国のバブル崩壊で1バレル10ドル台の可能性も」このキャプションにビビります。「喉元過ぎれば熱さを忘れる」の諺ではありませんが、日本人は30年前の石油事情を憶えていません。2015年の石油業界の状況は、30年前と似通っていました。「1985年の11月から1986年の3月にかけて、原油価格の暴落率は67%に対し、2014年6月からの同原油暴落率は57%」の記事に驚く間もなく「85年当時の原油価格は11月時点での1バレル30ドル強から、翌年7月には10ドル近くまで急落」したとの記事に愕然です。1985年の終わりには2300基近い石油掘削装置が、1年後には1000基ほどに減少し、米国の石油業界は概ね閉鎖に追い込まれたのです。湾岸戦争が勃発した1990年、イラクによるクウェート侵攻をきっかけに原油急騰するも、1991年に下落(イラク撤退)に転じ、その後も1999年までは15~25ドルというレンジで推移します。世界の原油需給に大きな変化が訪れたのは2000年前後になってから。アジアの経済成長、特に中国人たちの中間所得層が自転車から自動車を運転し始めたのがこの頃からで、その後2008年の147㌦を頂点に乱高下を繰り返すも現在では投機家の手中にあり、中国の成長の陰りが、世界の心配事になっています。(ウォールストリートジャーナル紙から一部転載)
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