移動が旅行に変わったのです
全日空は3月から、羽田空港発着の北陸路線を3割減便するそうです。2015年3月の北陸新幹線開業による旅客数の減少に伴い、機材小型化や割引拡大などの対応策を施すも功を奏さず、「現状維持は困難」との判断に同情を禁じ得ません。予想以上の新幹線効果に専門家ですら舌を巻いてしまう現状に改善の余地はあるのでしょうか。新たな新幹線の利便性を発見した私が言えるとすれば、「羽田便を諦めて他地域の発着便構築に舵をとる」でしょうか。カーゴ便増と小松─四国便の運航に活路を見出したいところです。新幹線の無い地域をターゲットにするのは当然なのですが、カーゴ便の特性も再度見直すべきでしょう。JRも同じ3月から、北陸新幹線「はくたか」の東京―金沢の所要時間を最大16分短縮すると発表しました。関係者の話を聞くと埼玉の大宮駅が「ターミナル駅」としてハブ的要素を持ち始めたそうです。航空会社にとっては矢継ぎ早の災難に遭っているようで、いたたまれません。もう自治体レベルで何かできる訳ではないのですから、ドラスティックな転換が待ったなしになりました。傷口に塩を塗りこむような話かも知れませんが、シニアの私に言わせればこの競争は終わりました。「ドアtoドア」のストレスフリーな「幸せの旅」に対して、お金と時間の非効率性と精神疲労を抱えながらの「しんどい移動」は、もうかつての「空の旅」とはほど遠いものになりました。つまり人々が感じていた「移動」が「旅行」になった瞬間に勝負はついたのです。
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