35年前にタイムスリップした14人③
「全員で出来るナンバーないかな」誰かが言い出しましたが、ベストな曲が出てきません。ほどなく、「じゃ片付けした後で全員集合の写真撮りましょう」幹事(後輩の皆さんありがとう)さんから発せられる言葉にトランスから解放された面々は最後の全員撮影に臨みます。心は大学生、体は50代になった14人の人生は35年の時を経て、今ここに集った証を刻んだのでした。しかし名残り惜しいのは全員一緒です。スタジオがはねた後、近くの居酒屋になだれ込ました。そこでようやく、ヨモヤマ話ができたのですが、卒業後の人生の縁取りを話すそれぞれの顔によぎったものは輪廻転生でしょうか。一緒に乗りこんだ帰りのタクシーで、伊藤がボソッと喋った言葉が印象に残ります。「これで俺の抜けていた時期のピースがはまった感じだ」私だけではなかったのです。あのころ大学生だった私たちの青春と夢はもう戻ってはきませんが、代わりに得たものは宝物より素晴らしい友情でした。
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