株式会社　津幡石油        (tsubata sekiyu)

35年前にタイムスリップした14人②

座ったまま私の横で彼は「あんバラ」を弾きだします。歌は突然始まるのでした。「ちゃんとやろう」てなことで一段上がったステージでMRS登場です。課題曲の3曲を矢継ぎ早に披露した後は、我も我もとばかりに次から次へとステージに上がります。スタジオは、演奏しっ放しのトランス状態に突入。可笑しいことに35年前は他のバンド演奏に手拍子やハンカチを振り回すなんてことは頼まれてもしなかった仲間が（みんなライバル意識が強い）嬉しそうにギャラリーしているではありませんか。時の流れとはいえ、皆大人になったのです。現役プレイヤーが中に居てくれるお蔭で演奏はダンダン合ってきました。テーブルのケータリングもプレイヤーのアクションに目が奪われていて満足に口に入りませんし、喋りたい人がいるのにガンガンの演奏はそれも許してくれません。後で聞いた話ですが、去年はここまで盛り上がらなかった由。今年のエネルギーの根源がMRSだとしたなら光栄の極み。さて、気ままな勝手演奏は後半を迎え、セッションの本番です。クリーム、ツェッペリン、ディープパープルとブリティッシュハードロックのメドレーになった時点でヴォーカルが入ります。やっぱりバンドはみんなが歌えるナンバーが当然受けます。全員の顔は破顔一笑のオンパレード、プレイヤーたちは疲れ知らずで弾くものですから誰も止められません。幸せの時間は「あっ」という間だと実感したのは、いよいよ忘年会も最後の30分を迎えた時でした。