意味のある原油消耗戦
世界の全ては原油にあることは以前にも書きましたが、ここにきて錯綜感すら感じるほど下がり続けています。これはどういう訳でしょうか。ゴールドマンサックスの20ドル予想が聖書のごとく展開するなどと考えている場合ではないので、大原則を追うべく、その根拠を整理してみました。地政学的リスクもさることながら、そもそもの原油の生産コストとシェールの生産コストにフォーカスを充ててみると、新鮮な結果に行きつきます。OPECの中心であるサウジの原油生産コストは、1バーレル4〜10㌦と極めて安価であるのに対し、米国シェールオイルの生産コストは、条件の良いリグで1バーレル25〜45㌦程度。これにより昨年末から今年にかけて掘削する商社が次々と倒産、勿論日本の商社も撤退しました。その時期にあたる2015年4月に世界の原油は1バーレル60㌦台に戻ります。サウジは尚も減産せずの戦略でシェール潰しを仕掛けるのですが、逆にシェール「ビッグ・スリー」のしぶとさに遭遇します。言うところの逆襲ですが、その理由の一つが掘削技術の進歩。シェールオイル油田の掘削日数が器具の進歩により、従来の5カ月から2カ月に短縮されたのです。原油価格が1バーレル60㌦前後になった時点で、新規油田開発のためのリグ稼働数が増加しだしました。シェールオイル開発関連の技術が日進月歩した結果、生産コストに比例した以降、原油価格は夏前に1バーレル40㌦台、そして現在はその40㌦も割ってしまったのです。サウジは1バーレル100㌦台の時の原油価格が高止まりしていた時期に蓄えた準備金を取り崩せば、向こう3年ほど米国と戦えるのだそうです。これはもう我々GS(ガソリンスタンド)業界の消耗戦とは次元の違う、それこそ為替や株価を巻き込んだ意味のある消耗戦なのです。この後クリスマスまでの世界は、米国の利上げと為替相場に固唾を飲みます。
コメント