安くなっても買わない
3勝6敗。これは今年1月から9月までの全国ガソリン販売量の前年比です。6度の前年割れは深刻です。自動車離れが顕著な都市部だけでなく、自動車が必需品の地方都市でも販売は伸びていません。昨年のガソリン価格と現在の価格を比較すると20%以上、価格にして30円以上安価になっているにもかかわらず、販売量が前年を割っている状況の原因は一体何なのでしょう。ガソリンを1ℓ120円と仮定して試算してみます。まず満タン給油30㍑で支払いは3,600円。去年に比べ、900円も安く給油できていますが、スーパー等の日常必需品が為替の影響で値上がりしている分、消費者の受ける感覚が相殺以下になってしまっていることが主たる原因なのです。他にもハイブリッドを中心にした自動車メーカーの製造方針が国内市場に浸透してきたこと。PHV、電気自動車そして水素自動車の社会になるとの報道が国民に深く刷り込まれ始めたことも大きな要素です。勿論、少子高齢化の影響も少なくなく、出生率は1.42人台で推移、若者の優先順位はSNSが日常のスマホに取って代わられ、高齢者も健康状態にかつてない異変(道路状況の複雑性も含む)を認識させられ、免許証返納という閉塞感も一因ではありましょう。でも何と言っても原因は消費増税との見解で一致するのではないでしょうか。消費者物価が上昇しないのも増税が財布の紐にボディブローのように効いているからです。ガソリン販売量が伸びないのはこういった複眼的な負のスパイラルによるものだと推測しています。家計のお財布事情は現実に目減りしているのです。結果、必然的に満タン給油をしづらくさせるのですね。円安ドル高の為替は今後も原油安を相殺するので、現在の原油価格がもう一段下がれば、さらに安いガソリン価格の掲出も続くのですが・・・。とうとう石油業界は販売戦略を見直す時期にきました。
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