兵は詭道(きどう)なり
昨夜のTVニュースで、東京都内の東横線、目黒線、多摩川線の3路線が電気系統のトラブルで運転見合わせとの報道がありました。最近の鉄道に何が起きているのでしょうか?報道を見ていると、カメラが途方に暮れている人々の浮かぬ不安顔を捉えます。迂回ルートを常に考えておくことが東京では重要かと思います。私が東京で仕事をしている頃には、常に複数のルート(特に地下鉄)を頭に入れながら都内を移動していました。仕事そのものも同じ思考で臨むことは当然でした。その根拠は「物事は常に変化及び消失する可能性あり」との発想です。特に仕事柄、デジタルとアナログテープのバックアップは欠かさずしていました。同じものを複数用意するための手段を講じることは、何よりも完璧完全を常に想定外にしていた(メーカーさん御免なさい)からです。無から有を生む仕事は、洞察力や五感の研鑽が絶対条件です。だからというわけでもないのですが、CMやビデオ及びVP音楽のレコーディングには独自性で臨みました。普通は1テイクで仕上げる音楽も、打ち合わせの段階でクライアント(広告主)が「方向性を迷っている」と感じれば、もう1つ別のテイクを仕上げることで私のスタイルをアピールしたのです。このプラスアルファのお蔭で、最終仕上げのMAルームではよく感謝されたものですが、私たち作り手側の負担は予算も含めて倍以上になる(2度のトラックダウン)ため、これは邪道かもしれません。しかし当時はバブルといえども「生き馬の目を抜く」諺のごとく、他人を出し抜いて素早く利を得る業界です。競争に打ち勝つために五感を巡らすのは現在に至っても私のスタイルに変わりありません。要するに「兵は詭道なり」なのですね。それにしても鉄道のトラブルは収まるどころか、大きくなっていくばかり。バックアップ体制をもう一度見直しましょう。
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