ドイツ的挙手の仕方
週末に見た、地上波特番「池上彰のニュースそうだったのか」に学ぶことがありました。東京裁判とドイツを中心にした解説番組。件の東京裁判でインド法学者・裁判官パール判事の全員無罪主張は有名な話ですが、アメリカの陸軍軍人・法律家ブレイクニー弁護人の「戦争は犯罪ではない、戦争には国際法があり合法(objection!)である、戦争は国家の行為であって個人の行為ではないため個人の責任を裁くのは間違っている」との主張には、ある意味において強い印象を受けました。原爆投下問題もとりあげた(この問題提起を翻訳家は訳さず)ブレイクニー氏はその後、東京に法律事務所を開設しましたが、1963年3月4日セスナ機を操縦中、伊豆半島にある天城山の山腹に激突し他界しています。55歳の若い死は残念。また、ドイツを解説するコーナーでは、現代に至ってもナチスを徹底して封印する国家の覚悟が、学生の挙手の仕方にまで及んでいることに驚きとヨーロッパの平和を形成するための強い意志を感じたのでした。世界と日本の関係を知るには、まだまだ知らないといけないことが沢山ある訳で、過去に目を向けて自身の考えを構築することが肝要だとするいい機会でした。ただ、パール判事とブレイクニー弁護人いずれもの主張する内容が、正論(中庸)に値していても各国判事に封殺されていく流れは、現在においても「立場が変われば」的でそれは普遍です。合理的思考が過ぎれば、人間だけが持つ情緒を封殺する恐れのあることをここに主張します。
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