「世界に一つだけの花」ゆとり世代のど真ん中
オリコンが発表した「平成30年のシングルランキング」で1位を獲得したのがSMAPの「世界に一つだけの花」。2003年春、シンガー・ソングライターの槇原敬之が作詞作曲を手がけたドラマの主題歌は瞬く間にダブルミリオンを記録した。2016年にSMAPの解散が報じられると再び売れ出して結局トリプルミリオンを達成、平成で一番売れた楽曲となった。2位以下を見ると5位までが280万枚以上のダブルミリオンばかりで驚くが、この年を境にしてセールス媒体とその工程がCDからネットの動画配信へと大きく変化していく。昔はレコーディングスタジオに入るだけで特別な気持ちになり、クリエイティブな仕事場としてそれぞれがそれぞれの持ち場でプライドを持っていた。その誇り高き制作工程を宅録可能にしたのがアップルの創業者スティーブ・ジョブズだったが、宅録した作品をユーチューブやその他の動画サイトにアップすればその日からプロと同等のアーチストになれるなんて誰も想像できなかったのではないか。私がiTuneで楽曲のバラ売りを知ったのが2006年辺り(iPodは日本で2003年に発売された。)だったことを考えれば3年もしないうちに世界のミュージック・シーンは様変わったことになる。最近では大御所と言われるアーチストたちもネット配信するようになったが、プロアマ問わず楽曲リリースの方法論は画一化されたように思う。自らが書いた楽曲をレコーディングしてネットで配信、加えて路上ライブをやりながらCD物販するのが当たり前になった今、SMAPの「世界に一つだけの花」のようなメガヒットはもう生まれないだろう。平成は良くも悪くもエポックな時代として日本人の記憶に深く残る。因みに昭和のシングルランキングを見てみると合点がいかないことに出くわす。1980年代、超売れっ子だった松田聖子の一番売れた楽曲が85.7万枚「ガラスの林檎/SWEET MEMORIES(1983年7位)」で終わっていることだ。あれだけ各局の歌番組に引っ張りだこだった彼女のシングルが80年代に只の1曲もミリオンになっていない(1996年:「あなたに逢いたくて」で110.1万枚)。昭和のTVメディアがいかに国民を洗脳せしめていたのかと思うと騙されたようでゲンナリ。松田聖子シングル売上枚数。
https://nendai-ryuukou.com/artist/103.html
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