コンビニがなぜ24時間にこだわるのか
「いつ行ってもお店が開いている。」24時間営業の代表的存在だった外食産業は2017年からその座を降りたが、理由に上げたのが「従業員の勤務状況と環境の改善のため」だった。かつて店舗数1位を誇っていたガソリン・スタンド(セルフ店)の24時間営業も「働き方改革」の推奨よろしく、今では大きく後退した。その中にあって、今だに24時間営業を全加盟店に課しているのが店舗数60,000店に達したコンビニ業界。しかし今年になってその“縛り“を破ったひとつの店舗が本部と対立している。大阪府にあるコンビニエンス・ストアのフランチャイズ(FC)加盟店が「24時間はもう限界だ」として、営業時間を短縮したことで本部と対立、本部から「24時間に戻さないと契約を解除する」と通告された。応じない場合は約1,700万円を請求された上、強制解約されてしまうというが、コンビニ店のオーナーは営業時間を決める自由がなく、勝手に時短営業してしまうと解約金や違約金が生じるという。余程の事情があるのだろうと記事を読むと、一緒に働いてくれていた伴侶が突然他界して一気に店が回らなくなったのだという。いわゆる人手不足の一語に尽きる話かと思えば真相は他にあった。今、全国の店舗数が飽和状態に陥っていることでFC制度が店舗事情にマッチしなくなってきていることが指摘されている。特にFC本部のおいしい利益の一つであるチャージと呼ばれる上納金の深夜分、これは1店舗で1日5000円前後が相場になり、全国60,000店で計算すれば約3億円が毎日本部の懐に入るのだそう。誰が考えてもこんなおいしいチャージを手放すわけはないが、優越的地位の乱用に当てはまりはしないものか。コンビニ本部の「鵜飼い形態ビジネス」はどこまで継続されるのか興味は尽きない。(チャージ:コンビニでは売上から仕入れ代を引いた「粗利」を本部と加盟店で分配している。深夜分の分配は多くの加盟店で持ち出しになる。)
コメント