万引き家族と20億円の壁
映画「万引き家族」の是枝監督が文部科学省の祝意を辞退したことが話題になっている。日本国政府がカンヌ映画祭でのパルムドール受賞という栄冠に「おめでとう」とした言葉の表彰状を「いらないです」と断ったことに一部のマスコミが賛辞を贈っているけれど、ちょっと待ってほしいのは、この映画には政府文化庁から2000万円の助成金が支出されている事だ。我々国民の税金を受け入れたのであれば、それが1円でも映画に使用されれば公的な作品になり、製作会社AOI Pro.と製作責任者であるエグゼグティブプロデューサー並びに現場責任者の監督、そして幹事社であるフジテレビジョンは快く承るのが常識ではないか。国民のカネを受け取っておいて文科省林大臣の「祝意」を断るのは、いかにもセンスのないケツの穴の小ささである。監督に代わってエクスキューズしている月刊『創』のコラムを読んだが、独りよがりな邦画界の枝葉話は、結局興行収入がなければ次の映画をつくれないカネが先に立つ同情話。どうあれカネを集めなければいけないのなら、文化庁の2000万円支援が(現在、邦画の製作費は平均3.5億円)たとえ彼らにとって「はした金」だとしても、国民の税金に有難くお礼を言わなければ映画を愛するファンは納得しない。映画界、特に邦画はここ最近不作だらけで唯一アニメが好調なことに嫉妬心を溢れさせている実写製作組にはウンザリするが、邦画業界が勝手に講釈をたれている「20億の壁」に一喜一憂しているサマを見る限り、2000万円はやはり「はした金」であって彼らの国に対する驕りはあざとく醜い。日本の映画産業の規模を考えると、まだまだ映画文化振興の為の予算が少ないのはマイノリティに照準を合わせ過ぎているからではないか。ここに是枝監督のブログを転載する。《 映画がかつて「国益」や「国策」と一体化し、大きな不幸を招いた過去の反省に立つならば、大袈裟なようですが、このような「平時」においても公権力(それが保守でもリベラルでも)とは潔く距離を保つというのが正しい振る舞いなのではないかと考えています。》個人の主義主張が明確であればあるほど襟を正すべきで、これでは筋が通らない。「万引き家族」映画予告編。
https://www.youtube.com/watch?v=OPm1ssuQQf4
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