土曜お昼の「マーケットアナライズ+」はここで何度も紹介している番組。先週は脱炭素社会への心構えみたいな内容だったが、IEA国際エネルギー機関が5月18日に公表した「Net Zero by 2050」工程表(ロードマップ)の中身に驚かない関係者はいない。2021年、新規の化石燃料プロジェクトへの投資停止やCO2削減対策を行わない工場への投資も行わない、2030年までに電動化を60%に引き上げる、そして2035年までに内燃機関自動車の販売停止など挙げ出したらキリがない。また、2021年からの10年間、毎年1000GWの風力と太陽光発電増設を求めたことは日本のモノづくりに多大な悪影響をもたらす。1000GW(ギガワット)と言う単位にピンとこない人も多いと思うが、世界最大のエネルギー量を出力する日本の柏崎刈羽原発が821.2万KW(1GWは1000MW、KWにすると100万KW)だというから目標は遥か彼方だ。途方もない数字で現実感に乏しく思うもののIEA事務局長曰く「ロードマップは先進国から実行せよ」と手厳しい。もう一つ厳しいのは数字ではなく脱炭素のリスクだ。化石燃料の需要が減る前に供給が減るというリスクは単純に言うとガソリン価格が1リットル300円になりかねない話。コロナが収束した後にお金が有り余った層とそうではない層との軋轢は逃れられない現実となる。