「寺内貫太郎一家」が残した残像
毎週火~金の午後8時は、余程興味のある地上波でなければ「寺内貫太郎一家」を見るのが日課になっている私。2018年の1月からBS12でONAIRされている「寺内貫太郎一家」は今から44年前の1974年にTBSでONAIRされた平均視聴率30%の大人気ホームドラマでした。主人公の寺内貫太郎には、なんと作曲家の小林亜星さんを大抜擢したスラップスティックの人情物語は、他に歌手の西城秀樹さんと浅田美代子さんを起用する大胆なキャストで、プロデューサー久世光彦氏の新しいドラマコンセプトは、当時のTBS上層部には受け入れにくかったことでしょう。最近では同じTBSの日曜劇場が同じような破天荒キャストで話題を呼んでいますが、そのルーツはこのドラマからではないかと思われます。とにかく毎回出演したゲストが半端ではありません。イラストレーターから落語家、コメディアンからプロレスラーまであらゆる業界からキャスティングさせた久世光彦プロデューサーに先見の明を感じるのでした。ドラマの中で西城秀樹さんが小林亜星さんに腕を骨折させられるというハプニングもあったストーリー内容は、1970年代の日本の家族愛を象徴的に描いた、その後に続くプロデューサーたちに大きな影響を与えたプロトタイプ的なドラマですが、その中にあって「石貫」の職人従業員役の左とん平さんが24日、80歳で他界されました。とん平さんの演技は、いつも「テメェー、カンタローっ」と大声で啖呵を切っては逆に痛い目に遭う、弱いくせに向かっていく日本人好みのキャラクターは、とん平さんにしかできないほどマッチした役柄でした。今年の1月から44年ぶりに見る「寺内貫太郎一家」ですが、1つだけ現在と大きく違った点があります。それは1970年代の男女が現代とは正反対にポジショニングされていることです。私たちの世代には眩しかった寺内家の家族愛は、21世紀の今、虚しいばかりの残像として頭をよぎるのでした。「寺内貫太郎一家」第一回オープニングテーマ。
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