アラ還ジェネレーションのSOS
電車の中で2人の男性が交わす会話が聞こえてきました。「ところで還暦以降はどうすんだ?」男は吊革に両手を突っ込みながら前に座っている友人と思われる男に話しかけています。「どうってそのまま雇ってもらうつもりだけどね」「年金までの5年間は大変だもんな」吊革の男はその両手をブラつかせながら続けます。「でも給料下がるんだよね。どれくらいになる訳?」座席の男は少し困ったような顔をしながらも笑いだすと「コンビニで働くよりは貰えるからね。この歳で頭を下げる仕事はしたくはない」60歳に手が届く中年同士の会話は、人生の縮図を見るようで切なくなるのですが、年金を受給できる年齢まで働くことを目標にしている世代は、55~59歳で約1000万人いると分析されています。2016年時点で全就業者数(6,465万人)のうち、60~64歳は8.1%、65~69は6.8%、70歳以上では5.1%と、世代に占める高齢者の就業割合の合計は20%です。さて、年金受給予備軍の目標を粉砕するような話が政府から発表されました。16日、政府がまとめた中長期的な高齢者施策の指針となる「高齢社会対策大綱案」の中身を見てみると、高齢者の更なる就業促進と年金の給付引き伸ばし策が面白いように書かれています。年金の受給開始年齢を70歳以降でも可能とする制度は、過去にも見直されてきた経緯がありますが、65歳で選択できる前後10年間の受給猶予期間を70歳以降にまで広げられるのは、正直ニンジンぶら下げすぎじゃないでしょうか。受給開始の選択年齢が広がることは悪くはないものの、受取開始を65歳より後にすれば毎月の受給額が増え、前倒しすれば減る仕組みを最大限に利用するなんて生煮え感いっぱいで釈然としません。具体的には受給を65歳後にすると、1カ月遅らせるごとに0.7%ずつ毎月の受給額が増え、年間では8.4%の上乗せです。因みに70歳まで受給を遅らせた場合は、受給額が最大42%増える(逆に前倒しして60歳で受給すると最大30%減)のだとか。最終的には、75~80歳までの引き上げも視野に入れている政府の目論見に「これ以上引き伸ばされたら年金貰う前にあの世行きだ」と悩むアラ還は多いことでしょう。でも案外それが狙いだったりして・・・。年金受給70歳時代。
https://www.youtube.com/watch?v=0r5tlFveNFA
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