Time's up ハリウッドの終焉
「第75回ゴールデン・グローブ賞」の授賞式は、ハリウッド映画のお通夜かお葬式の佇まいです。去年に勃発した製作者側のセクハラ問題への抗議を示すため、俳優のほぼ全員が黒色の衣装で出席しましたが、この展開は結構意外ではないのかも知れません。セクハラはいわば同意なしに俳優に対して圧力をかける原始的恥辱行為の何物でもありませんが、俳優の一部がこの原始的な種族とは作品を作りたくないと会場で訴えているように見えるのです。21世紀に入り急速に映像媒体が増えましたが、ここ最近特に視聴会員数を増やしているのが「ネットフリックス」という動画配信サービスです。今や1億人を超す勢いの「ネットフリックス」はAIを駆使しながら新しいメディアの地位に立とうとしています。「どの作品をどの媒体で見たか等、100を超える項目を基に個々の嗜好と法則を分類しながら電子メールで宣伝、視聴につなげる」(クリス・ジャフ副社長)。これはアマゾンの映像版(レコメンド機能)を地でいく戦略です。彼らは2013年、視聴会員のデータを基に主演俳優や監督を起用、今までのハリウッドとは全く逆の方法で作品を製作したのです。スリラー好きはどんな俳優を好むか、どの監督が作れば利用者は最後まで視聴するかというデータを活用して製作された「ハウス・オブ・ザ・カード」はエミー賞を獲得します。今までプロデューサーの経験や、その人脈で作品を作ってきたハリウッドのビジネスモデルとは対極をなす「ネットフリックス」ですが、日本においては2016年にNHKと「ドラマ 東京裁判」でパートナーシップを結び、吉本興業とは芥川賞作品「火花」でコラボレーションしています。ツィッターのフォロワー数が450万人を超えているコンテンツサービスの動向は、ハリウッドのみならず世界の映像ビジネスモデルを180度変えつつあるといっていいでしょう。アンジェリーナ・ジョリーやニコール・キッドマンが1億人の会員からレコメンドされればセクハラは過去の遺物となります。Netflix/永井豪×湯浅政明『DEVILMAN crybaby』トラウマ的衝撃篇 30秒。
https://www.youtube.com/watch?v=KPsvu7R5dM4 「ゴールデン・グローブ 2018」全員黒装束で授賞式に出席。
https://www.youtube.com/watch?v=TpYQHJELwvI
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