「いつまで油売ってんの」と言われた昔
平成10年4月といえばドライバーが自ら給油できる(セルフサービス)新しい形のガソリンスタンドが誕生した記念すべき年。石油業界にとってはエポックメイキングな日として認識されているのですが、これを境に、続々と全国にセルフサービス店が登場します。橋本自民党単独政権の時代にセルフサービスを合法化した裏にはどのような背景があったのでしょう。当時の日本経済は「失われた10年」の真っ只中にあって、バブルの傷を背負っていました。西暦に直すと1998年の4月です。橋本内閣は、行政改革を始めとする中央省庁再編(ビッグバンと言われました)と大幅な税制改革などを行いましたが、消費増税の失敗(3%から5%)で1997年秋からの景気後退を招き、それは未だにデフレとして日本経済の足かせになっています。本質になる原理原則よりも官僚たちの目先の挽回策を丸呑みした結果、直間比率の整合性をとれず税収減に陥ります。石油業界では規制緩和による消防法改正で、量販店を中心にセルフサービス店が洪水のように全国に溢れでました。元売にとっては合法的にサプライヤーから一挙両得なリテールビジネスに参入でき、消費者側も面倒なフルサービスの対面販売から自分流に給油できる利便性と気楽さに気づきます。当初は50円差になればセルフに行くなどといった意見もありましたが、実際は今もって2円から3円差(表向き)で市況は形成されています。話が遠回りになりましたが、先日報道されたセルフ店の「監視なしの常時給油操作」事件はネットを中心に拡散されました。確かに消防法違反の内容は本末転倒ですが、この手の違反は全国規模で恒常的に行われているのです。監視員を置くことで給油できるとした解釈も現場では人件費の削減が優先されて安全性は担保されていません。原理原則を半ば無視した行為は組織ぐるみ、いえ業界ぐるみと言えるかもしれません。近い将来、車の燃費が1ℓ50kmを超えると、化石燃料業界の数量神話も崩壊するでしょう。コンビニの自販機でガソリンが買える時代がくれば、茹でガエルの体質は変わるのでしょうか。しかし危険物の免許がないドライバー(無資格者)でも給油できるとする消防法の解釈には、政治と業界のクソ圧力を感じずにはいられません。環境国ニッポン万歳!「安全対策が崩れている」セルフスタンド論文。
http://www.khk-syoubou.or.jp/pdf/paper/r_11/11rijityou2.pdf
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