反面教師
年末恒例「もう一度見たいドキュメント72時間」。今年の36作品から視聴者が選ぶ「ベスト10」がNHKでONAIRされました。甲乙つけがたい10作品はどれも「日本の原文化」です。一般大衆の日常における一葉を72時間に凝縮したドキュメントは編集されているにせよ、私にとっては飽きなく見られる大切な一つです。昨年は「秋田 真冬の自販機の前で」今年は「長崎 お盆はド派手に花火屋で」が1位でしたが、2位と3位も日本の原文化の佇まいが深く心に刻まれる価値あるものでした。生きていくためには何が必要となるのか、心の拠りどころを希求する人間たちの機微をカメラが捉えます。3位の「四国 海だけの小さな駅で」はこの番組のストライクな1本でしたし、2位の「ゆきゆきて 酷道439」は日本文化の縮図を見させられたようで、未来の日本を憂いてしまうのでした。そして1位の長崎ですが、私が初めて見るお盆の風習に唖然とするキバツな「花火大会」。長崎市内の老舗花火屋に密着した72時間は、花火を買う人々の故人を想う気持ちを映しだすのですが、長崎人の極楽浄土に対する姿勢は私が恥ずかしくなるほど純粋無垢なのです。40万円分の花火を買う人や、爆竹を箱ごと買っていく人等、故人の初盆に全身全霊を捧げる姿に感心させられた私は、我が身の愚かさに忸怩するのでした。昨年の秋田と今年の長崎はどうあっても体験しなければいけません。(酷道439編の人形たちには流石に「うむむ」ですが、海だけの小さな駅編の夕景は一見の価値あり。)
https://www.youtube.com/watch?v=SYVZTGzVwsY
コメント