フラミンゴ・バーの彼女
1990年代に仕事が終わるとよく言った店が「フラミンゴ・バー」です。六本木にある映像通信とINFASというポスプロが私のワークスタジオでしたが、そこから歩いて数分のところにあるバブルならではのサイケデリックな店を、この私が見逃すわけがありません。瞬くうちに多くのマスコミ業界人たちのホットスポットになったお店ですが、このフラミンゴ・バーは、六本木の数あるBARの中でも特別気に入った場所で、気心の知れた仕事仲間や代理店関係者、テレビ局のプロデューサーを連れて朝方まで飲んだものです。何度か通っている内に馴染の女の子が出来るのですが、その中に一人風変わりな娘がいました。顔立ちからして六本木には似あわない普通そのものの彼女は、そのミスマッチを茶化すとムキになるところが面白かったのですが、彼女が唯一譲らないことがありました。「SMAPって知っています?」デビュー前の10代のグループを知らない訳がない私でしたが「ああ、ちょっとしか知らないけど、ジャニーズだろ?」「私、実は追っかけなんですぅ。特にぃキムラクンが大好きでぇ」「すぐポシャるんじゃないの?」私の投げやりな言葉に「絶対人気でます、私信じているので」彼女の随分自信のある言い方は、その後予想が当たるどころか「世界のSMAP」として成功していったのです。その国民的アイドルグループ「SMAP」が2016年1月に解散するとした報道に世間は大騒ぎとなり、8月には「12月31日をもって正式に解散」することが発表されます。ファンによる解散NOは12月になってもマスコミが話題にしていたのですが、大晦日の紅白を辞退した彼ら5人は、フジTVの「スマスマ」を最後の場所に決めます。5時間に及ぶ特別番組の最後を飾った歌に、あのフラミンゴ・バーで彼女が言い放った言葉が私の中でオーバーラップします。「キムラクンだけがぁ ひときわ目立ってるんですぅ」ファンには悪いけど、グループに解散はつきものです。
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