マニュアルを超えた使命感
新潟県糸魚川市で起きた大火災に対する被災者向けの説明会で、市長を含んだ行政側の回答に被災者から異論が出たのだそうです。今後の防災論議に影響を与えそうですが、事実関係を詰めていくと仕方ない面が重なって起きた天災かと思う反面、初動の消火活動にフォーカスを充てて検証しなければいけない部分があるようです。12月22日午前10時20分頃、中華店を火元にした火災は折柄の強風による飛び火で瞬く間に延焼し、156棟の約40,000㎡が焼損したのです。最初に通報を受けた糸魚川消防本部は、火災を起こした中華店を小火程度に考えていたのではないでしょうか。確かに工場等の爆発火災ではないので、規定の布陣を現場に向かわせたのでしょうが、荒れている天候をどこまで把握して出動させたかを知りたいのです。当日の気象状態は、日本海側の低気圧に南風が吹き込み、糸魚川市では22日午前10時過ぎには最大風速14.2m、正午過ぎには最大瞬間風速24.2mを記録したとの発表を見る限り、強風が台風並みに変化したことを消防本部は緊張感を持ってチェックしなかったのではないか、さらにフェーン現象が起きて、気象庁から強風警報が発表されていたにもかかわらず、現場はマニュアル通りの消火活動に終始していたのではないか、強風に対する消化方法のABCは考えなかったのか、いずれにしても消防本部に先を読む想像力と決断力、そして何にも増して高い危機管理と使命感があれば、こんなに手の負えない事態にはならなかったように思うのです。幾つもの不運が重なったことは誰の目からみても明らかですが、災害から県民市民を守るのは一重に自治体組織の自覚に基づく意識にかかっていることを忘れてはいけません。大きな爪痕を残した糸魚川大火も、旧態依然とした法律や条例が自治体寄りになっている以上、被災者が納得できるような救済には到底ならないでしょう。
https://www.youtube.com/watch?v=_P1XsMqlnGY
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