オファーは100％自分が応えます
いつの頃からかは忘れたけれど、先々の予定を組むのが苦手になった私。一週間先の予定がない事を確認するとホッとした気持ちになるのですが、これがちょっとでも約束事が入ると途端に「うむむ」となり、1ヶ月から3ヶ月先を埋められようものなら心は完全に「断末魔」に。でもその叫びは、口に出す瞬間に思いとは裏腹な言葉に豹変するのです。「わかりました。その日は大丈夫」「いいですね。行きましょう！」もう一人の自分が簡単にOKしてしまう安請け合いの精神はどこから来るのでしょうか。マスコミ業界で仕事をしだした1986年当時、駆け出しの私の存在など誰も知らない世界で仕事を得ることは奇跡に近いことでした。システム手帳をめくっても週間スケジュールが真っ黒にならないことに強迫観念いっぱいの私は、内容がどんな仕事であっても引き受ける覚悟を決めて、広告代理店に電話をしまくり、直接の営業に出向いたのです。そのお蔭でしょうか、2年後の1988年、30代直前に音楽制作会社を起業するまでに至った私は仲間に支えられながら韋駄天のごとく業界を駆け回ります。フリーランスの時と変わらぬどんな仕事でも引き受ける精神は、広告業界という枠を通り越し、コンサートプロモーターやテレビラジオの事業部、ビデオ映画、ファッション雑誌等の他媒体からも連絡が入りだします。若い私の心身はいつも絶好調で、それぞれのオファーに100％応えていたのですが、次第にスケジュールが真っ黒を超えてダブルブッキングに遭遇していきます。1日に2つ以上の仕事が舞い込み始め、エスカレートしてきたオファーは1週間単位になり、同じ時間に2か所のスタジオへいく訳にはいかない難儀さを恨むことになります。最初は騙しながら出来ていたことも、難しくなってくると他のスタッフに仕事を振ろうかとなったのですが「いやいや、俺にオファーされているんだからやっぱり自分でやろう」何でもかんでもを一人でやらないと気が済まない性分も手伝ってか、その後も私に対する仕事のオファーは、ADから請求までを一人でやり通したのでした。あれからあっという間の30年。誰に遠慮することなく「やりたいことだけやる」として実行してきた今年も、早や年の瀬を迎えます。
https://www.youtube.com/watch?v=La4HRfL5tV4
コメント