パープルレイン
言葉にならない悲しみの訃報が朝方に飛び込んできました。プリンスの他界です。マイケル・ジャクソンから始まったそれは、ホィットニー、ボウイ、そしてグレン・フライ、モーリス・ホワイトと、ロックスターたちが不意を突いたように天上に昇っていきます。プリンスがミュージックシーンに登場した時の印象を一言で言えば、類のない独創性の怪しさ、加えて刹那的危うさと、ある種ジェンダーフリーを想起させる雰囲気は、マジシャンがアーチストになったかのようでした。このことは、どの音楽分野にも属さない強い意志を感じさせたのですが、1982年発表の「1999」というアルバムを聞けばそれが理解できます。私の衝撃は、その2年後に発表された「パープルレイン」に集約されます。ビルボードチャートのトップに24週間も輝いたそのアルバムは、全米だけで1300万枚、全世界で1500万枚を売り上げたのです。この楽曲はプリンスの伝記映画で歌われたのですが、曲そのものがプリンスになっていて、彼の人生すべての思いが込められている極めて貴重な楽曲です。音楽に限らずエンターティンメントの才能にも恵まれていました。「バットマン」でのプリンスの動きは、新鮮さと不気味さをうまく融合させた質の高いダンスで、現在の振り付けに少なからず影響を与えているでしょう。2000年以降、プリンスの動向があまり日本に知られなくなりましたが、私は3年前、iPodに「パープルレイン」をダウンロードした時に、彼の事を気にします。私と同じ年齢、デビュー時の独特な動きと、刹那的眼差しの危うさをステージで発揮できているのか知りたかったのです。死因は明らかにされていませんが、マイケルと同じように年齢的な衰えを医学的に改善していたとすれば、行く末は見えていたのかもしれません。同じ時代を生きてきた私は、彼の生き方に思いを馳せます。すると悲しくて切ない感情が、行方の知れない彼方に消えていくのでした。プリンスは、真に異色のロックスターだったのです。
https://www.youtube.com/watch?v=qsdR8eycRys
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