パラノイア
原油でアジア市場の指標となる中東産ドバイ原油のスポット価格が7日午前、続落しました。ついに11年9カ月ぶりに30ドルを割ったのです。イラク戦争前後の安値になったわけですが想定通りとはいえ、ほくそ笑むこともありません。暖冬のせいで暖房用の灯油がはかばかしくない中で、メーカーがガソリンで収益を目論もうとするのは誰の目にも明らかです。経営の目線からいえば仕入価格の乱高下はノーサンキュー。原油市場の行方に我々はため息をつくだけで、それはどこに落ち着くのか「行方知れず」です。片や現代の知りたい情報はスマホで瞬時に得られ、欲しいものはEC上で注文すると送料無料で翌日配達される時代になりましたが、それが逆目に出てくる年が2016年。人々の格差はどんどん深刻になり、ヨーロッパ並みに不満の怨嗟は国内を覆うのでしょう。最近よく19世紀から20世紀の階級制度が蔓延していたドラマを見る機会に恵まれる私ですが、現代人が患うパラノイアに比較して「この時代はまだ差はあれども、人に施しの心があるよな」などと妙に感心してしまうのは、人間の根源が煩悩の塊で出来ていることに半ば諦めを抱いているからでしょう。件の核実験でアジアは大騒ぎですが核の真偽はさておき、この行為自体が「狂気」の沙汰。一刻も早く国際法に則って制裁されるべきで、こればかりは「行方知れず」とはいきません。
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