北方領土は還らない 敗戦国の悲哀
夜遅くに日本とロシアの首脳会談共同声明が生中継された。12時過ぎに安倍首相とプーチン大統領の声明内容に<北方領土>の4文字が入っていなかったことに期待した人は肩を落としたことだろう。私も放送を見たが、冴えない表情で会場入りする安倍首相を見るなり「まとまらなかったんだな。」と思った。日本がロシアに対して北方領土の返還を求めてきた道程は、1956年の日ソ共同宣言(国交回復)以来何度も双方の首脳が<北方領土>問題を交渉し続けてきた。特に2005年の小泉政権ではプーチン大統領が来日したことで最終局面を迎えたのかと思えたが、実のところ全く進展には至らずで領土問題は立ち消えたかに思えたが、消えかかった火をよみがえらせたのが安倍首相だった。26度の会談をプーチン大統領としている首相の実績が世論を喚起させたことは喜ばしいことだが、落としどころ(互いの目論見)を見つけられていない首脳会談はこれからも平行線を続ける。実際のところ四島はおろか、二島すら還ってこないと見るのが妥当だろう。私の父がまだ生前にこの話題を実家で話したことがあったが、私のデリカシーに欠けた一言が今でも悔やまれてならない。丁度このころ(2002年頃)は自民党鈴木宗男議員のロシア疑惑(ムネオハウス)が世間を賑わせている時で会話は必然的に北方領土に移った。父「北方四島は日本に還らんかな。」私「還らんと思うよ。」「何でや?あれは日本人のもんや。還すべきや。汚いマネしたんはロシアの方や。」兵隊の端くれにいた戦争経験者は合点がいかないのだろう。「父さんの気持ちは分かるけど日本は戦争に負けたからな。」父は私の言葉を聞くと急に黙ってしまい<北方領土>の話はそれ以上することはなかった。戦争に負けたことを自分の子どもに言われたことがどれほど父の心を傷つけたのだろう。いまだに父のガッカリした表情がわたしの脳裏をかすめていく。日露首脳会談 <北方領土問題>に進展はなし。
https://www.youtube.com/watch?v=yc---SQqsWE
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