「もてなす」ということの奥義
東京六本木、一流ホテルのコンシェルジュデスクに寄せられる依頼は、1日300件以上。「花火が見えるすし屋を紹介してほしい」「サムライがいる場所に行きたい」「パスポートを落とした」など、想定外の依頼も多い。客に向き合うとき、コンシェルジュが大切にするのは、「言葉の向こうの“心”を読む」ことだ。相手の表情の微妙な変化を徹底的に観察し、言葉に隠された真意をつかみ取る。年齢や服装、同伴者の有無などを考慮し、少ない手がかりで極めて短時間のうちに相手の目的を見極める。求めるのは、「攻めのもてなし」。“やるべきこと”だけではなく、“やった方がいいことは全部”やる。そうして攻めの姿勢で向き合ってこそ、接客はプロの仕事になる。見終わった私は、20年分の大きな大きな溜息をついたのでした。
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